「悪い縁を断ち切り、新しい良いご縁を呼び込む」

鎌倉の中でも、特に、
四季折々の花が美しいお寺、
ということは、知っていたけれど、

 
「女性の駆け込み寺」
 

という歴史があったことを知ったのは、
つい最近のこと。

妙に気になり、すぐさまお参りにいった、そのお寺は、

 
北鎌倉「東慶寺(とうけいじ)
 

だ。
 

(草木が生い茂る、東慶寺の本堂)

 
 
駆け込み寺、別名、
「縁切寺(えんぎりでら)」とも呼ばれる、このお寺。
 
 
女性からの離縁が、
制度上できなかった江戸時代に、
 
夫の不貞などから、
立場の弱い女性を救うべく、
  
寺に駆け込んできた女性を匿い、
離縁を成立させていくまでの役割を担っていたのだそう。
  
 
しかも、「住職の情け」ではなく、
「幕府公認」で、だ。
  

(お寺に上がる階段。夏の日差しが強い。)

 
当時は、お寺に勤める役人が、
   
「奥さんの意思は、とても固いです。
 離縁状を書いてください」
  
と、夫側に伝えにいったり、
   
「夫も反省しているから、
 そろそろ、家に戻りさない」
 
と、妻側を説得することもあった、
  
という話を聞いて、

 
なんと人間味あふれる、
面白いお寺なのだろう!
 

と、思うのは、私だけだろうか。
 
 
もちろん、今も昔も、当の本人にとっては、
「修羅場」だったのだろうけれど^^;
 

 
そんな話を聞いたものだから、
   
お寺には「怨念」が残っているのでは、
と、足を踏み入れるのにドキドキしたが、
   
そんなことは全くなかった。
 
 
夏日の下でも、このお寺の境内は、
楽園のように、平和で、穏やか。
  
 
私の頭に浮かんでくる、
当時の女性たちの表情からは、
 
怨念や、悲壮感というより、
 
むしろ、
 
これからの人生を楽しみにする
「軽やかさ」が感じられたのだ。
 
 
夫とは、清々と別れ、
 
「ここを出たら、何をしようか」
 
と、なんだか楽しそうだ。
 

(草花の手入れをする庭師さんたち。)

 
 
よくよく考えてみると、
 
女性の立場は、さほど弱くなかった、のかもしれない。
 
 
というのも、
このような場が、公に設けられ、
  
万が一、夫が交渉に応じなかったとしても、
 
尼として修行をしたら、2〜3年で、
離縁が成立する仕組みだったそうだから。
  
 
意を決して、駆け込んだ先に、
女性たちが見つけたものは、
  
「未来への希望」
  
だったのではないだろうか。
  
 
私の偏見満載ではあるが、
 
女性のたくましさを感じ、
なんだか、清々しい気持ちになった^^
 

  
ちなみに、当時、「縁切寺」として、
公認されていたのは、2箇所。
 
  
この「東慶寺」と、
群馬県にある「満徳寺(まんとくじ)」だ。
 
  
もちろん、今現在は、
駆け込み寺としての機能はないのだけれど、

 
「悪い縁を断ち切り、新しい良いご縁を呼び込む」
 

そんなご利益のあるお寺、だ。
 
 
「人生はご縁がすべて。」
 
私は、そう信じているので、
東慶寺には、定期的に訪れたいなと思う。
 
 


 

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