秋の夜
- 2022-09-14
- くらしのおと
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さっきまでの喧騒が
ウソのように静まり返った。
宵闇のリビングにひとり。
無造作に転がるゲーム機を横目に
ふぅーっと息をつく。
窓を開けると、夜の匂いをのせて、涼しい風が入ってきた。
途端に響いてくるのは、虫の声だ。
儚げな音色は繊細に響き、
幾重にも重なり合い、
星屑を散りばめたような世界を
私の中に浮かび上がらせる。
鎌倉に暮らしていて一番の贅沢は
そんな秋の夜かもしれない。
緊張していた身体は自ずとやわらぎ、思考は鎮まっていく。
都内に暮らしていたときに、こんな瞬間はあっただろうか。
大袈裟かもしれないけれど、
日々の雑多なことも、自分の未熟さも、
この瞬間にすべて許されてしまう、とさえ思うのだ。
残りの家事は、もういいか。
あまりに心地良く、つい夜更かしをしてしまう今日このごろ。
さぁ、明日も良い1日になりますように。
かまくらのおと
白河 晃子
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