「夏至の日に、初めてのお護摩へ」

高幡不動尊
 
駅の名前は知っていたけれど、御本尊を訪れたのは初めてでした。
 
奈良時代の開基ともいわれ、
空海が不動明王を安置したと伝わる
都内で最も古いお寺の一つだそうです。

目的は、お護摩の祈祷。

お護摩とは…

梵語でホーマ(homa)といい、〈焚く〉〈焼く〉などの意味をもつことばで、仏の智慧の火を以て煩悩(苦の根元)を焼きつくすことを表します。

御本尊(不動明王)の前に壇を設け、さまざまな供物を捧げ、護摩木という特別な薪を焼きつくし御本尊に祈る真言密教独特の修法で、たいへん霊験あらたかであると云われております。

お護摩の火は不動明王の智恵を象徴し、薪は煩悩を表しています。護摩の儀式を通じて薪という煩悩を、不動明王の智恵の炎で焼きつくし、ご信徒と共に、ご信徒の願いが清浄な願いとして高まり、成就する事を祈ります。

(高幡不動尊金剛寺HPより)

とのこと。

煩悩を焼き尽くし、
願いが清浄な願いとして高まり、成就する…

 
文面だけではよく分からないけれど、なんだか凄そうです。
 
謹んで、当日を迎えました。
  
おりしも、陽の気がピークを迎える、夏至の日。
 

 
御堂に上がり、正座をして待っていると、
住職と複数の僧侶が現れ、恭しく、お経が始まりました。
 
しばらくすると、住職は護摩壇に火を入れ、護摩をくべていきます。
 
最初、小さかった火は、どんどん燃え上がり、気づけば天井に向かって、高く高く煙が登っていました。
 
そこに加わるのは、大太鼓。
 
激しく立ち上る炎と、地響きのような太鼓の音に、不動明王さまの気迫を感じながら、
自分に対峙し、心を鎮めていきました。
  
時間にして、大体30〜40分くらいだったでしょうか。
  
梅雨の湿った空気と焚き上げる火の熱で、
体はじわっと汗ばんでいるのですが、
心は真空を漂っているような不思議な体験でした。
 
お護摩の後は、ふっと全身の力が抜けたように思います。
 

  
御堂の外は青紅葉と紫陽花を背景に、
お堂やお茶室、五重の塔が見え、
小旅行に来ているのかと錯覚するような景色でした。
 
6月いっぱい、あじさいまつりが開催されているそうです。
 
今日の景色が名残惜しく、おうちに帰ってさっそく試したのは、本堂で販売されていた紫陽花のお香。(珍しい!)
 

 
不思議なことに煙が出ないのですが、
ふわぁと甘い香りが漂う上品さ。
  
静かに消えいっていく香りとともに、一日を締めくくりました。
 

かまくらのおと
白河 晃子

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