「上質な時と空間を楽しめる鎌倉山のブックカフェ」
- 2022-04-10
- くらしのおと
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ひらり、ひらり、
桜の花が舞う鎌倉山は、
今、一年で最も朗らかな季節を迎えています。
そんな山の上の閑静な住宅街の中に、
そのお店はありました。
「晃子さん!いきなりなんですが、日程調整してここに行きませんか?」
と、作家の石川先生にお誘いいただき、
訪れることになったのは、
鎌倉山にあるブックカフェ
「惣 common」 さん
(鎌倉駅から車で10分ほどの距離にあります。)
数日前に、先生が、
たまたま聴いていたラジオの中で、
こちらのお店が紹介されていたそうで、
気になって検索してみたところ、
お店のコンセプトやオーナーのお考えに、
ピンときた!とのこと。
そんな流れで、お誘いくださったのですが、
不思議なことに、ちょうど翌日が、
まるまる空いているではありませんか!
タイミングが合う時というのは、
本当に物ごとがスムーズに進むもので、
すぐさま、足を運んでみることとなりました。
さて、実際に訪れたこちらのお店は、
想像以上の空間でした。
紺色の暖簾をくぐると、そこに現れるのは、
広々としたテラスと、風にそよぐ広大な竹林。
柔らかい木漏れ日が降り注ぎ、
茂みの中からは、ウグイスや小鳥の鳴き声が。
そこはもう、別世界のようで、
しばし、佇まずにはいられないほどでした。
ようやく店内に入りますと、
そこには、センス良くデザインされた、
本とカフェのスペースが広がっていました。
店内をぐるりと囲む本棚には、
独自の視点で選ばれた本が、美しくレイアウトされていました。
店内には1000冊ほどの蔵書があるそうです。
このお店が、非常にユニークなのは、
中古本も新しい本も一緒に並べられており、
いずれも定価で販売されていること。
そして、購入した本を読み終え、手放す際は、
また、このお店で買い取っていただけるというシステムでした。
捨てられたり、
個人宅に眠る本を出来るだけ減らしたい。
本を共有資産=common にしていきたい。
そんなお店の想いと試みが、
このシステムに詰まっているようです。
お店の店主は、物静かな雰囲気。
絶妙な距離感で、ほっといてくださるので、
とても居心地がよかったです。
一方で、
「本を大切に扱い、循環させていく」
そんな熱い思いは、説明されずとも、
お店の細部にまで宿っていることが、ひしひしと感じられました。
出版業界に30年以上関わり、
本というものに、誰よりも深い想いを抱いていらっしゃる先生は、
このお店のコンセプトや着想に、とても共感なさっていました。
おりしも、新講座を企画しているタイミング。
今回、この場に訪れたことで、
すでに、手の中にあったシナリオが、
現実のものとして、鮮やかに浮かび上がり、
二人で、静かに、興奮しておりました。
きっとこの日は、大事なターニングポイントになるに違いありません。
あっという間に3時間近くが経ち、
まだまだくつろいでいたかったのですが、
最後は、子どもたちに本を買って、帰ることに。
恐竜好きな次男には、「せいめいのれきし(岩波書店)」
星に興味を持ち始めた長男には、「星の辞典(雷鳥社)」を。
店内には、子どもが読めような本も多く、
次回は、本人たちを連れてきて、選んでもらおうと思いました。
そして、私には、こちらを購入しました。
一見、文庫本に見えるのですが、
実は、本を模したパッケージの「お茶」なのです。
福岡県八女市「中村園」さんのもので、
店主さんが試飲させてくださったのですが、
これがまた天にも昇る美味しさでした。
八女市で栽培したハーブ、ほうじ茶、緑茶を、
様々な組み合わせで、ブレンドされているのです。
たくさんの種類があるので、
少しずつ試してみようと思っています。
本と、自然と、飲み物と。
日常の喧騒から離れて、
上質な時と空間を楽しむには、
絶好の場所を見つけてしまいました。
近々、また来よう。
かまくらのおと
白河 晃子
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