「失って、わかること」

実は、2月に入ってしばらくの間
体調を崩していたのですが、
ようやく調子が戻ってきました^^
 
“痛みも苦しさもなく、思うように体が動く”
 
それが、どれだけありがたいことか。
身に染みて感じています。


今回、熱や頭痛の症状があったのですが、
実は、個人的に、最も辛かったのは、

“ 香り ” がわからなくなったこと

でした。


おそらく、これまでの人生で、
初めての経験だったように思います。


ある日、突然、
なんの匂いもしなくなったのです。


洗いたての洗濯も、
炊き立てのお米も、
コーヒー、紅茶も、
お香や、アロマオイルも。

どんなに鼻を近づけてみても、
何も感じられません。


じゃあ臭いものはどうだろうかと、
生ゴミの匂いを確かめてみたのですが、、、

やはり、何も感じないのです。


匂いがわからなくなったことを、
ようやく、自覚した時。

世界が、無機質なものに一変しました。


香りが分からないと、味覚が落ちますから、
料理をしても、味の確かめようがありません。

もちろん、食べたいという気持ちも、全く起きません。


お香も、香りがなければ、ただの煙です。

朝の時間や、休憩の時に、
手のひらで香ることを習慣にしている、
エッセンシャルオイル。

その楽しみも、無くなりました。


さらに言うと、匂いがわからないことで、
人の気配に対して鈍くなります。

ひとり、ポツンと、
別世界に、取り残されてしまったような、
寂しさがありました。


お医者さんに聞いてみても、

「しばらく様子をみるしかありませんね」

と、取り合ってくれません。


この状態が、まさか、一生、続いてしまったらどうしよう…

正直、数日、気が気ではありませんでした。


失って初めて、ありがたみがわかる
とはよく言ったもので、

香り、というものが、
目の前の世界を美しく織りなすための、
極めて重要な要素であることを、初めて知りました。

そして、香る、という行為が、
日々の喜びや活力にどれだけつながっていたのかを、
思い知らされたのです。
 
 

 
 
ですから、
香りが戻ってきたことに気づいた朝は、
安堵と喜びでいっぱいになりました。


大事にしなさいね、と、再度、
贈り物を手渡されたように感じたほど。


心の中で、歓喜しながら、
しばらくの間、家の中の、ありとあらゆるものを、嗅いで回りました。笑


特に、嬉しかったのが、コーヒー、紅茶の類。

香りがなければ、ただのお湯、でしたから。。


ありがとう、ありがとう。

と、大袈裟なまでに感謝しました。


香りに限らずですが、
普段、当たり前に出来ていることが、
奇跡のようなことだったなんて。


今回の出来事に、意味があったとしたら。

普段、当たり前にできていることに、
意識を向けるためだったのかもしれません。


無数の愛が、そこにあると知り、
この世界を、一層、鮮やかに感じらるように。


喉もと過ぎれば…

とならないように、
今、この感覚を忘れずにいたいものです。
 
 
かまくらのおと
白河 晃子

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